せっかくお気に入りの万年筆を使おうとしたのに、インクがかすれて書けない…。そんな経験はありませんか?
実は、万年筆のかすれやインクの出にくさは、ほんの少しの工夫で簡単に直せることが多いんです。
この記事では、「万年筆 かすれる 直し方」をテーマに、原因別の対処法から新品の慣らし方、日常のお手入れ方法まで詳しく解説します。
読み終える頃には、あなたの万年筆が再びスムーズにインクを走らせる姿に出会えるはずです。
お気に入りの一本を長く使い続けるために、ぜひ最後までチェックしてみてください。
万年筆がかすれる原因を正しく知ろう
万年筆がかすれて文字が薄くなったり、インクが途切れたりする原因はさまざまです。
まずは「なぜかすれるのか?」という根本の理由を知ることが、正しい対処の第一歩です。
この章では、万年筆のかすれが起こる代表的な原因をわかりやすく整理していきます。
まず確認したい「かすれ」の主な症状とは?
万年筆のかすれと一口に言っても、実はいくつかのタイプがあります。たとえば、書き始めだけインクが出ない、途中でかすれる、全くインクが出ないなどです。
こうした症状を把握することで、どの部分に問題があるのかを絞りやすくなります。
🟨 症状:書き始めでかすれる
→ 説明文:ペン先の乾燥・インクの流れの不安定さが疑われる
🟩 症状:途中でインクが切れる
→ 説明文:内部の空気混入やインク残量不足の可能性
🟦 症状:全く書けない
→ 説明文:インクの固着・詰まり・初期不良の可能性
まずは「どんなかすれ方をしているか」を観察することが、正しい直し方の第一歩です。
インクの乾燥・固着が起きやすい環境とは?
万年筆を長く使っていない、またはキャップをしっかり閉めていないと、ペン先のインクが乾燥して固まります。とくに湿度の低い冬場や、エアコンが効いた室内では乾燥が早く進みやすいです。直射日光の当たる場所では、ペン内部のインクまで劣化することもあります。
🟨 環境条件:乾燥した部屋
→ 説明文:ペン先のインクが固着しやすい
🟩 環境条件:高温多湿の場所
→ 説明文:インク粘度が変化しフロー不安定に
🟦 環境条件:直射日光
→ 説明文:インクの色味や成分が変質する恐れ
ペン先の乾燥や固着は最も多いトラブル。使わない期間が長いときは、キャップをしっかり閉めて横向き保管を。
書き方・角度・紙質が影響するケースも
万年筆の書き心地は、筆圧や角度、そして紙の質によっても変化します。ペン先の刻印を上に向け、45〜60度程度の角度で紙に当てるのが基本。コート紙などツルツルした紙ではインクが乗りにくく、かすれやすくなります。
🟨 要素:筆圧
→ 説明文:強すぎるとペン先が開き、インクの流れが悪化
🟩 要素:角度
→ 説明文:45〜60度が理想。立てすぎ/寝かせすぎは不安定に
🟦 要素:紙質
→ 説明文:粗い紙はペン先を傷め、光沢紙はインクが乗りにくい
万年筆は「書き手の癖」に敏感。正しい姿勢と角度を意識するだけで書き味は大きく改善します。
万年筆のかすれを直すための基本ステップ
万年筆のかすれは、原因を理解したうえで正しい手順を踏めば自分で直せることがほとんどです。ここでは、初心者でもできる3つの基本ステップを紹介します。
インクが出ないときは焦らず、一つひとつ丁寧に試すことが大切。
ステップ① ペン先を洗浄してインク詰まりを解消
最も多い原因は、ペン先や内部のインク固着。水またはぬるま湯に数分つけ、軽く拭いてから再装着して確認します。
🟨 洗浄に使うもの:ぬるま湯(30〜40℃)
→ 説明文:熱湯は樹脂を傷めるため避ける
🟩 洗浄に使うもの:コップ/洗浄用カートリッジ
→ 説明文:ペン先を半分程度浸せば十分
🟦 洗浄に使うもの:柔らかい布・ティッシュ
→ 説明文:金属部分は優しく拭き取る
強くこすったり無理に押し出すのはNG。優しく扱うのが長持ちのコツ。
ステップ② インクの種類と万年筆の相性を見直す
インクが万年筆に合っていないとかすれの原因に。基本はメーカー純正の使用。乗り換え時は旧インクを完全に洗い流してから。
🟨 インクタイプ:染料インク
→ 説明文:発色良・乾き早め。詰まりにくく初心者向き
🟩 インクタイプ:顔料インク
→ 説明文:耐水・耐光に優れるが固まりやすい。使用後の洗浄必須
インク交換時は“完全洗浄→完全乾燥→新インク”が鉄則。
ステップ③ 空気の混入をチェックして取り除く
インクがあるのにかすれる場合、内部に空気が入っていることがあります。ペン先を下にして軽く振る/胴体を軽く叩く/カートリッジやコンバーターの付け直しで改善。
🟨 症状:インクが断続的に出る
→ 説明文:ペン先を下にして軽く叩いて気泡を上げる
🟩 症状:全く出ない
→ 説明文:カートリッジを付け直し、空気抜きを行う
強く振ると飛散の危険。ティッシュを添えてゆっくり空気抜きを。
新品の万年筆がかすれるときの原因と対処法
買ったばかりの万年筆が思うように書けないのは珍しくありません。理由を知れば対処は簡単です。
ペン先までインクが届いていないケース
カートリッジ式では、インクがペン先に到達するまで数〜十数分かかることも。ペン先を下にして静置し、自然に流れるのを待ちます。
🟨 状態:インクが出ない
→ 説明文:カートリッジを軽く押してインクを送り出す
🟩 状態:書き始めが薄い
→ 説明文:ペン先を軽く振って馴染ませる
🟦 状態:ムラがある
→ 説明文:数行書いて馴染ませる“慣らし運転”を
新品は慣らしが必要。最初の数行で書き味が変わることも多い。
初期不良や調整不足の見分け方
正しく扱っても全くインクが出ない場合は製造調整の問題かも。自己判断で曲げたり広げたりは禁物。
🟨 チェック項目:ペン先のズレ
→ 説明文:割れ目が左右非対称。対応=メーカーへ相談
🟩 チェック項目:インクフロー不良
→ 説明文:断続的/ゼロ。対応=修理・交換依頼
🟦 チェック項目:ペン先の傷
→ 説明文:紙に引っかかる。対応=専門店で研磨依頼
明らかな異常は無理に触らず販売店・メーカーへ。
書き心地を安定させるための正しい持ち方と姿勢
同じペンでも持ち方・角度次第でフローは激変します。基本を押さえて安定した筆跡へ。
ペン先の向きと角度の正解
刻印が上向きで、角度はおおよそ45〜60度が目安。
🟨 角度:30度以下
→ 説明文:インクが出にくく線が薄くなる(おすすめ度:低)
🟩 角度:45〜60度
→ 説明文:最も安定したフローと書き味(おすすめ度:高)
🟦 角度:70度以上
→ 説明文:引っかかりやすくかすれやすい(おすすめ度:低)
強押しは禁物。「軽く紙に乗せる」感覚で自然なフローに。
筆圧が強すぎると起こるトラブルとは?
万年筆は強い筆圧を必要としません。強すぎるとニブが開き、ペン芯がずれてフロー悪化や漏れの原因に。
🟨 筆圧:強すぎる
→ 説明文:ニブ変形・出が悪い。腕全体で書き、力を抜く
🟩 筆圧:適正
→ 説明文:滑らかなフロー・安定した筆跡。指先の力を抜く
🟦 筆圧:弱すぎる
→ 説明文:接地が甘く途切れやすい。紙への接地を意識
姿勢は、前腕を机に置き、手首を固めずスムーズに動かすと良いです。「指で書く」より「腕で書く」 イメージで。
万年筆のかすれを防ぐお手入れ・保管のコツ
どんな名品でもメンテ不足はかすれのもと。日常ケアと保管で“いつでもスムーズ”を保ちましょう。
日常的にできる簡単メンテナンス方法
使用後はペン先を軽く拭き、1〜2週間に一度はぬるま湯で内部洗浄。
🟨 メンテ内容:ペン先の拭き取り(毎回)
→ 説明文:強くこすらず優しく押さえる
🟩 メンテ内容:内部洗浄(1〜2週に一度)
→ 説明文:ぬるま湯で洗い、完全乾燥後に装着
🟦 メンテ内容:インク交換(使い切りごと)
→ 説明文:種類を混ぜない。交換前に洗浄を
インク混ぜは詰まりの原因。こまめなケアが“かすれ知らず”の第一歩。
長期保管前の洗浄と乾燥のポイント
使わないときはインクを抜いて洗浄・乾燥してから保管。
🟨 手順:① インクを抜く
→ 説明文:カートリッジ/コンバーターを外す
🟩 手順:② 水で洗浄
→ 説明文:透明な水で内部のインクを完全除去
🟦 手順:③ 乾燥
→ 説明文:通気性の良い場所で自然乾燥(数時間)
ドライヤー・直射日光はNG。熱で樹脂が変形する恐れ。
正しい保管方向と環境を整えるコツ
普段は横向き保管が理想。ペン立てならペン先を上に。
🟨 保管方法:横向き
→ 説明文:インク偏りを防ぎフロー安定
🟩 保管方法:ペン先を上に
→ 説明文:インク漏れ防止
🟦 環境:直射日光を避ける
→ 説明文:インク変質・乾燥を防ぐ
涼しく乾燥した暗所が理想。正しい保管で長く快適に。
かすれ知らずの書き心地を維持するためのおすすめアイテム
初心者でも扱いやすいメンテ用品で、手軽にベストコンディションをキープ。
洗浄キットで手軽にメンテナンス
「POINT」の万年筆洗浄キットは欧州規格対応。インジェクターにぬるま湯を吸い上げて装着→押し出すだけで内部洗浄。
🟨 商品名:POINT 万年筆洗浄キット
→ 説明文:手軽に内部洗浄・繰り返し使用可/価格目安:約550円(税込)
定期洗浄は最強の予防策。「書けなくなる前に洗う」がベスト。
持ち運びに便利なクリーニングペーパー
神戸派計画のSUITO(スイト)クリーニングペーパーは吸取紙素材で、ペン先のインク残りを素早く吸収。
🟨 商品名:SUITO クリーニングペーパー
→ 説明文:吸取紙で素早く除去・コンパクト/価格目安:約495円(税込)
ティッシュで強拭きは傷のもと。専用品ならやさしく清潔に。
まとめ:かすれを直して、万年筆をもっと楽しもう
万年筆のかすれは、少しのケアと使い方の見直しで大きく改善します。慌てず原因を見極め、適切な手順で対処しましょう。
🟨 原因:インクの乾燥・固着
→ 説明文:ペン先洗浄・使用後はキャップをしっかり
🟩 原因:空気の混入
→ 説明文:ペン先を下にして軽く叩く/カートリッジを付け直す
🟦 原因:書き方の癖
→ 説明文:45〜60度の角度・軽い筆圧を意識
🟧 原因:保管環境
→ 説明文:直射日光を避け、横向き保管で安定フロー
特に大切なのは、日常的なメンテと正しい保管。これだけで多くのトラブルは防げます。洗浄キットやクリーニングペーパーなどの便利アイテムも活用を。
「書けない」を放置せず、「書ける状態を維持する」ことを意識しよう。
万年筆のかすれを直すことは、単なる修理ではなく、あなたの筆記時間をより豊かにするための一歩。
お気に入りの一本を丁寧に手入れしながら、ゆっくり万年筆との時間を楽しんでくださいね。